森羅万象 around 千歳山

山形大学で生物(行動生態)を教えています。 受講する学生とあまり話す時間がないので、自己紹介的な意味で、日々徒然なることを書き留めることにしました。 [短縮url: goo.gl/DiKCjL]

カテゴリ:講義 > 行動生態学/動物行動学入門

本日 Science誌に、カラスの知性に対する論文が掲載されました。カラスが、猿に対して行われていた知能テストに、正解できることが分かりました。一度、石を使って餌を手に入れる装置を学習させると、15分経たないと装置を使えない状況でも、カラスは先んじて石を準備できました。また、物々交換のルールを教えると、17時間後経たないと交換できない場合でも、カラスは交換を成立できたそうです。

昆虫に食われた植物が、可塑的に毒物を作り始めることが以前から知られていましたが、その結果昆虫どうしの共喰いが促される例が、はじめて報告されました。トマトが作るジャスモン酸メチルは相当強力なようで、シロイチモジヨトウの幼虫の食欲を減退させます。その結果、となりにいる同種の幼虫のほうが美味しいので、共喰いする確率が高まるようです。鱗翅目昆虫を飼ったことがあると、幼虫どうしの共喰いは日常茶飯事ですが、植物の化学防衛によって促されるのは、興味深い事例です。

今年の4月にNature誌に掲載された論文で、ネズミの子育てに影響する遺伝的背景が、解明されたようです。

シロアシネズミ(Peromyscus polionotus subgriseus)と、オナガシカネズミ(Peromyscus maniculatus)は姉妹種ですが、 繁殖様式が大きく違います。シロアシネズミは一夫一妻で、立派な巣を作り、時間をかけて子供をグルーミングします。一方、オナガシカネズミは乱婚で、子育てにそこまで投資しません。量的遺伝学による解析の結果、巣作りに影響する遺伝子の1つは、バソプレシンの視床下部での発現を、制御していました。
バソプレシンは、プレーリーハタネズミでも、オスが特定のメスと子育てを共同する上で、重要な役割を果たしていましたが(Lim et al. 2004)、シロアシネズミでも似たような場面で、機能していたようです。

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