Mii+Columbo+Yatta-学生のみなさんも、これまで誰かに助けられたり、誰かを助けてあげた経験はあると思います。

同様の振る舞いは、野生動物にもしばしば観察されます。

これらの行動は、『生物は種を保存するために進化してきた』という古典的な概念では簡単に説明できたのかもしれません。

しかし、 協力することで種を保存しやすくなったとしても、協力行動にかかる労力が協力的な個体の繁殖のコストになる場合、他人から協力してもらっても、自分はいっさい協力し返さない利己的な個体(タダ乗り, 裏切り者)が出現すると、あっという間に協力的な個体が減っていなくなってしまうことが分かってきました。

つまり、種を保存する前に、種内の競争が強く働くので、協力行動はそう簡単に進化できないはずなのです。

しかし、冒頭にも言ったように、人間どうしが協力するのは珍しくありません。

また、アリやハチなどの社会性昆虫には、自分では子供を産まず、他の個体が産んだ子供を世話し守るために生涯を注ぐなどの自己犠牲が観察されます。

そのため、しばらく協力行動の進化は、生態学において解けない謎の1つでしたが、Hamiltonが提出した『包括適応度』という概念によって、自己犠牲の進化が説明可能になりました。

それまでは、進化の主体が個体にあるように論じがちでしたが、個々の遺伝子こそが進化の主体であると考えることで、自ら子供産まずとも遺伝子を次世代に伝える手段があることが明らかになり、謎から議論可能な問題になりました。

以上の話題を含め、生物に協力行動が進化した要因については、後期に開講される基盤教育の講義『情けは人のためなのか』で詳しく説明しています。