2016年5月17日は、O君が以下の論文を紹介してくれました。
Brom et al. (2016) Kin competition drives the evolution of sex-biased dispersal under monandry and polyandry, not under monogamy. Animal Behaviour 113:157-166.
本論文は、メタ個体群を模した個体ベースモデルを用いて、血縁者間の競争と配偶システム(monogamy, monandry, polyandry)が、性特異的な分散の進化に与える影響を解析しています。
この際、配偶システムの定義は以下のとおりです。
monogamy: 雌雄とも、生涯交尾相手は1匹だけ。厳密な意味での一夫一妻。 なので、性比が1:1から離れると、交尾できない個体が生じる。
monandry: 雌の交尾相手は生涯1匹だが、オスの交尾は無制限。一夫多妻と訳して問題ないが、婚姻関係もハレムの形成も仮定していないことに注意。
polyandry: 雌雄とも、交尾相手の数に制限なし。なので、父親が異なる半兄弟も、腹違いの半兄弟も生じうる。 一妻多夫という訳は、明白な間違い。乱婚の方が、定義に近い。
雌雄とも、個体群密度と遺伝的に決まっている閾値に基づいて、生涯1回無作為に選ばれたパッチに分散すると、仮定されています。
各パッチの環境収容力は、空間的にも経時的にも変動されます。
シミュレーションを実行した結果、雄が1回交尾の monogamy では分散率に性差が生じないが、 雄の交尾に制限がない monandry と polyandry ではオス特異的な分散が進化していました。
また、毎世代個体をパッチ間で無作為にシャッフルする行程を加えて、パッチ内とパッチ間の血縁度を揃えると、分散率は全体的に低下し、monandry と polyandry であっても性差がなくなることを示しています。
Brom et al. (2016) Kin competition drives the evolution of sex-biased dispersal under monandry and polyandry, not under monogamy. Animal Behaviour 113:157-166.
本論文は、メタ個体群を模した個体ベースモデルを用いて、血縁者間の競争と配偶システム(monogamy, monandry, polyandry)が、性特異的な分散の進化に与える影響を解析しています。
この際、配偶システムの定義は以下のとおりです。
monogamy: 雌雄とも、生涯交尾相手は1匹だけ。厳密な意味での一夫一妻。 なので、性比が1:1から離れると、交尾できない個体が生じる。
monandry: 雌の交尾相手は生涯1匹だが、オスの交尾は無制限。一夫多妻と訳して問題ないが、婚姻関係もハレムの形成も仮定していないことに注意。
polyandry: 雌雄とも、交尾相手の数に制限なし。なので、父親が異なる半兄弟も、腹違いの半兄弟も生じうる。 一妻多夫という訳は、明白な間違い。乱婚の方が、定義に近い。
雌雄とも、個体群密度と遺伝的に決まっている閾値に基づいて、生涯1回無作為に選ばれたパッチに分散すると、仮定されています。
各パッチの環境収容力は、空間的にも経時的にも変動されます。
シミュレーションを実行した結果、雄が1回交尾の monogamy では分散率に性差が生じないが、 雄の交尾に制限がない monandry と polyandry ではオス特異的な分散が進化していました。
また、毎世代個体をパッチ間で無作為にシャッフルする行程を加えて、パッチ内とパッチ間の血縁度を揃えると、分散率は全体的に低下し、monandry と polyandry であっても性差がなくなることを示しています。